関西大学図書館電子展示室:八代集の世界 KANSAI UNIVERSITY


拾遺和歌集
基本情報
下命者:花山院?
成立年次:具体的な成立年次、経緯は一切不明。寛弘2、3年(1005-1006)頃という説有り
撰者:不明。花山院親撰?
収録数:約1350首
巻数:20巻
序文:なし
収録された主な歌人:紀貫之、柿本人麻呂、大中臣能宣、清原元輔など
説明
拾遺集とも呼ばれ、拾遺集は先に編まれた藤原公任撰と推定される拾遺抄の拡大発展のものとして編まれたとされる。
成立、撰に関する経緯事情も先行の古今集、後撰集に比べて、曖昧な部分が多い。具体的なことは一切不明であり、様々な説も推測でしかなく、確証は掴めていない。
構成は春、夏、秋、冬、賀、別、物名、雑上が各1巻、巻九雑下に旋頭歌、長歌を含み、巻十が神楽歌、恋が五巻にわたり、雑春、雑夏、雑秋、雑賀、雑恋、哀傷が各1巻となっている。この緻密な構成が拾遺集の特色の一つである。
贈答歌が大幅に減少し、物名、神楽歌が復活、旋頭歌、長歌が採択されたこと等から、古今集の伝統へと立ち戻ろうとする姿勢が見える。しかし、それと同時に大量の屏風歌を選入するといった先行の2勅撰集にはなかったことも行っており、古今集の伝統の外に向かう動きも見せている。
拾遺和歌集 1帖 江戸時代前期写
流布本系の定家天福2年本。ただし、新編国歌大観本に比して、途中15首を欠く。
拾遺和歌集 1帖 鎌倉時代中期写
もと上下2帖本の上帖のみ。本文は全体として定家本の系統だが、流布の天福元年(1233)本とはまま異なるところもあり、また朱・墨2種の書入れは、異本系統の本文を伝えていて注意される。筆者を伝えて藤原為家というが、確証はない。
拾遺和歌集 2冊 江戸時代前期写
上下2冊本であるが、この内、上冊は伝本希な異本系統として注目される。なお、巻末には、文政10年(1827)林鮒主が、飛鳥井雅有筆の天福本で全巻を校合した旨の奥書がある。