関西大学図書館電子展示室:八代集の世界 KANSAI UNIVERSITY


新古今和歌集
基本情報
下命者:後鳥羽上皇(1180―1239)
成立年次:1205年
撰者:源通具、藤原有家、藤原定家、藤原家隆、藤原雅経
収録数:約2000首
巻数:20巻
序文:真名、仮名
収録された主な歌人:西行、慈円、藤原良経、藤原俊成、式子内親王
説明
「万葉集」「古今和歌集」と並ぶ古典和歌における高峰。歌風も万葉調、古今調に対して新古今調と呼ばれる。勅撰二十一代集の中でもっとも長期かつ複雑な成立過程を持ち、宣下者である後鳥羽院自らも編集に携わった。20巻からなる部立は、「千載和歌集」と同様に「古今和歌集」に近く、真名序、仮名序を持つ。但し、「古今和歌集」とことなり、短歌以外の作品を排除し、短歌のみで構成される。また、季節の推移、恋の進行など、配列に細心の注意を払った結果、芸術性の高い短歌と巧みな配列が歌集の美しさを成り立たせている。
鎌倉幕府の成立以降、貴族たちは政治、経済上の実権を喪失した。末法思想の影響もあり、無常観による苦悩と、貴族的な唯美主義が相まって、絵画的、音楽的、象徴的といわれる独自の美の世界を成立させている。単なる華麗さだけではなかったところが、中世を通じて「新古今和歌集」が愛された所以であろう。
新古今和歌集 1帖 江戸時代前期写
切出歌を12首持ち注目されるが,新編国歌大観本に比して、歌序の相違が見られ、また、途中脱落歌も認められる。
新古今和歌集(北山切) 1帖 貞和6年(1350)写
古筆の世界では、伝足利尊氏筆北山切、として名高い新古今集の零本。途中を何箇所か欠きながら、巻16〜20の4巻分を存す。撰者名注記を備えているほか、切出歌4種を持つ。巻末には「貞和6年2月14日」に書写した旨の奥書があるが、これは足利尊氏の生存中であって、注意される。
新古今和歌集 2帖 室町時代中期写
新古今集の精撰過程で削除された、いわゆる切出歌の一部が本文の当該箇所に細字で書入れられている点が注意されるが、下帖には一部錯簡も見られる。筆者については、箱書に「雅俊卿」とあるように、実際、飛鳥井雅俊の筆と認められる。