関西大学図書館電子展示室:八代集の世界 KANSAI UNIVERSITY


千載和歌集
基本情報
下命者:後白河上皇(1127―1192)
成立年次:1188年
選者:藤原俊成
収録数:約1300首
巻数:20巻
序文:仮名
収録された主な歌人:藤原俊頼、藤原俊成、藤原基俊、崇徳院、和泉式部など
説明
平氏都落ちの年に後白河上皇が宣下し、源平の争乱期を経て、1188年に成立。「金葉和歌集」、「詞花和歌集」と続いた10巻による構成から、「後拾遺和歌集」以前の20巻による構成に戻し、神祇、釈教を独立して1巻とした。また、僧侶の入選が増加し、全体の約19%(248首)を占め、これは勅撰和歌集では最高の比率である。
「詞花和歌集」の反古今的特徴や、同時代の歌人を軽視したことなど、「千載和歌集」の特色は、先の「詞花和歌集」への批判あるいは、正当な勅撰和歌集への復帰を目指した点にある。当代の歌人の比率も歌数では全体の50%に及んでいる。「詞花和歌集」の「をかしきさまのふり」(表現の奇抜さ)を批判的に包摂しつつ、古典的な叙情に立脚した歌風に特徴があり、中世和歌の世界が「新古今和歌集」で大成する予感を感じさせる。
千載和歌集 1帖 江戸時代前期写
千載集の伝本識別の際の基準歌495番と859番の2首を持つことから、甲類本と知られるが、全体として草稿本的性格が色濃い伝本である。
千載和歌集 1冊 室町時代中期写
上下2冊本の下冊のみ。本書は495番と1289番の歌を欠いており、乙類と見られるが、なお、配列が新編国歌大観本と異なるところが3箇所あり、注意される。巻頭の遊紙に紙片が添付され、そこに「宗祇時代/心敬法師筆/江田氏証之」とある。
千載和歌集 2帖 室町時代後期写
本書は495番と1289番の歌を欠き、やはり乙類本と知られる。巻末には「以冷泉中納言/為秀卿相伝/本定家卿自筆不違字/形被透写之畢/尤可為證本/而巳」という本奥書が見える。