関西大学図書館電子展示室:八代集の世界 KANSAI UNIVERSITY


後拾遺和歌集
基本情報
下命者:白河天皇
成立年次:1087年奏覧
撰者:藤原通俊
収録数:約1220首としている。
巻数:20巻
序文:仮名序
収録された主な歌人:和泉式部、相模、赤染衛門、能因法師など
説明
正式名称は後拾遺和歌抄という。構成は初めに仮名序を置き、春上下、夏、秋上下、冬、賀、別、旅、哀傷、恋四巻、雑六巻の構成で、全二十巻となる。この構成は古今集にならったものであり、雑第六巻には誹諧歌が復活している。また、同じく雑第六巻に神祇、釈教の項目を初めて立てている。
撰歌範囲を規定して、梨壷の5人以降とし、古今、後撰集の歌人を除外し、近代の歌を重視したことに先行の勅撰集との大きな違いが見られる。これによって、御堂関白、宇治関白の治世を含む平安時代文化の盛期の人々の作が網羅されることになった。詞書も具体的で、先行の勅撰集には年月日の記載もあり、最盛期の宮廷生活をよく映し出している。
こうしたことから、後拾遺集には古今集的規範によりながらも、当時の生活感覚を盛り込むという総合的な態度が見られると言え、その後の勅撰集のあり方を示唆したものとして藤原俊成や鴨長明に評価されている。
後拾遺和歌集 1帖 江戸時代前期写
新編国歌大観本に比して、相互に歌の出入りが認められ、本文的には静嘉堂本に近い。巻末には目録序を備えていて注目される。目録序の伝本は極希。