関西大学図書館電子展示室:八代集の世界 KANSAI UNIVERSITY


後撰和歌集
基本情報
下命者:村上天皇
成立年次:956年頃(諸説有)
撰者:清原元輔、紀時文、大中臣能宣、源順、坂上望城(世にこれを梨壷の5人という)
収録数:約1400首
巻数:20巻
収録された主な歌人:紀貫之、伊勢、凡河内躬恒、藤原兼輔など
序文:なし
説明
古今和歌集に対して、短歌形式にのみ限られており、技巧的な興味や謡い物の歌がない。部立による分類では、四季、恋、雑歌がかなりの割合を占め、他の部立は縮小しており、物名、雑体、大歌所御歌がない。収められている歌は古今集歌人によるものが多く、当代専門歌人の歌数は少ない。また、素人歌人、特に高貴権門のものと女性によるものが多い。
古今集に比べ歌の体裁より心情の率直な表現を重んじる。さらに、一首の独立性よりもその作が作られた生活場面に興味の中心を置く作りとなっており、長い詞書が付して説明が加えられていたりする。そのため後撰集はしばしば物語的と評されている。
流布本は藤原定家の天福2年書写本の流れである。
後撰和歌集 1帖 江戸時代前期写
承保3年(1076)4月という書写年次を本奥書として持つ異本系。定家本とは、歌の出入り、歌序および本文の異同などが認められ注目される。同系統の伝本は、他に天理図書館蔵の1本が知られるのみ。