関西大学図書館電子展示室:ちりめん本 KANSAI UNIVERSITY
The "SOSHI-BUSHI"(Japanese Soshi's song)
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The “SOSHI-BUSHI” (Japanese Soshi's song) 本文
編者は東洋音楽学校(後の東京音楽大学)を創立し、唱歌「赤穂義士」の作曲者として有名である鈴木米次郎である。本中の歌詞と楽譜は鈴木の手によるものらしい。挿絵は北村透谷の弟である丸山古香(本名は丸山垣穂)が描いている。明治31年の出版であり、鈴木は当時、高等師範学校で勤めていたということだが、丸山古香とどのようなつながりがあって、共に仕事をしたのかはわからない。

“SOSHI-BUSHI”とは裏表紙にあるように“壮士節”のことである。明治19年頃から始まった自由民権運動の運動家(これが壮士と呼ばれた)がその思想を宣伝するために街頭で演説する代わりに歌ったもので、そのため壮士節と呼ばれた。これが日本の演歌の元である。後、演歌を専業とする演歌屋が現れ、明治43年頃からヴァイオリンを用いて歌うようになる。これがヴァイオリン演歌である。ニュースを伝えるという役割を他のメディアに移譲し、思想的側面を失いつつ、歌謡としての演歌が現在も大衆芸能として残っている。

構成はまず楽譜のページから始まり、その後1番から6番までの歌詞と歌詞に沿った挿絵の入ったページが続く。歌詞を囲む枠や枠の周囲を飾る装飾、全体の構図も凝ったものがある。ちりめん本としても、史料としても、資料的価値のあるものだと思われる。
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