KANSAI UNIVERSITY
長谷川貞信
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ご挨拶

上方浮世絵師長谷川貞信

江戸の浮世絵だけが、日本の浮世絵ではありません。上方の人々に愛されてきた上方浮世絵の豊穣な世界があったのです。現在の日本では、上方浮世絵は等閑視されている感がありますが、海外でOsaka Printsと呼ばれ、珍重されてきたのです。この度関西大学図書館では、初代・二代・三代にわたる長谷川貞信の大コレクションを蔵書とすることができました。一般に、上方の浮世絵では役者絵が圧倒的に多いのですが、代々の貞信は風景画も多く残しています。これらは古き良き大坂の風景が窺えるものが多く、「大阪」の歴史や文化の研究に資するところ大であります。また、風景画ばかりでなく武者絵や玩具絵など多岐にわたる分野にその足跡を残している点も殊に注目されます。上方の絵師は、江戸とは異なり、代々画名を襲名することは珍しいのですが、長谷川貞信の名は文政(1820年代)から今日まで歴代に受け継がれてきました。初代は、文政中期から活躍、役者絵と風景画を手がけ、天保以降の上方絵の様式を確立した絵師です。子の二代目は明治の浮世絵界に君臨、孫の三代目もこの様式を守りました。四代目は1999年5月死去されましたが、昨年ご令嬢が五代目を襲名されました。貞信の代々の作品は江戸時代から昭和までの上方(特に大坂)の歴史・風俗・文化の研究にあたっては不可欠の資料ですが、その画題が甚だ多岐にわたるため、その全体を把握することが困難でした。このコレクションは、初代から三代までの質の良い作品が収められ、上方文化研究の第一級の資料であることは間違いありません。上方浮世絵の豪華な色彩と彫り、摺りの作品を満喫してください。

年次考証等については、『初代長谷川貞信版画作品一覧』(松平進著 和泉書院 1997.4.15)に依拠しました。また、一部の画像について掲載しております解説文は、神楽岡幼子先生(元関西大学非常勤講師・現愛媛大学助教授)にお願いしました。記して深謝申し上げます。(2004.3.31)

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